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正の実数
に対して, 相加平均, 相乗平均をそれぞれ
![\begin{displaymath}
A=\frac{x_1+x_2+\cdots+x_n}{n},\quad G=\sqrt[n]{x_1x_2\cdots x_n}
\end{displaymath}](img84.png) |
(3.17) |
とおいたとき, 相加相乗平均の不等式(arithmetic and geometric means inequality, agmi)
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(3.18) |
が成り立つことは有名で, 多くの証明が知られている. 例えば
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(3.19) |
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(3.20) |
及び,
に対して
であること3に注意すると,
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(3.21) |
となるから,
である. また等号成立条件は
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(3.22) |
となる.
もし
の解が
であるとすると, 解と係数の関係から
となるので, より一般的に
![\begin{displaymath}
a_1\ge\sqrt{a_2}\ge\cdots\ge\sqrt[n]{a_n}
\end{displaymath}](img97.png) |
(3.23) |
が成り立つと予想できる. この不等式が成り立つという命題を
として, 単純な帰納法で証明することを考える.
は自明である4から, 問題は
である.
ここで
と
を結びつけることを考えたとき, 次数の差は1で, しかもそれぞれ
,
に対応しているのだから, 試しに微分してみる. そうすると,
のように期待通りの結果が得られる. これが分かれば後は簡単で,
とすると,
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(3.25) |
という方程式はRolleの定理より
個の正の実数解を持つから,
の仮定の下に
となる. また解と係数の関係に注意すると, agmiより
である. つまり
だから, すべての自然数
に対して
となる.
等号成立条件の導出は少しややこしい. もし
が成り立ったとすると,
に用いるagmiの等号成立条件を考えることで
となるが,
に関係なく成り立つ
に注目すると,
を得る. よって等号は
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(3.26) |
の場合に成り立ち, そのときすべての
は等しくなる.
Kenichi Kondo
平成16年3月18日