(
は指数に使いたいので
を添字とする)の
は
とも書けるから, 一般に
なら
となることは容易に分かる. よって自然数
に対して
とおけば,
は
 |
(1) |
で与えられるが, これでは明示的ではないのでもう少し詳しく
を調べてみる.
具体的に
として計算してみると,
となり, (1)のままではかなり無駄の多いことが分かる. それぞれの項について考えてみると,
の積だから
次(
の
)であり, 添字の和は常に
(
の係数という
)であり, また係数として添字の順列の数がかかっていることになる. つまり
を求めるには, 次数が
, 添字の和が
, 係数が添字の順列の数となるような項を全て足せばよいということになる.
を
個の非負整数の和に分解すれば一つの項が決まるから, 一番重要なのは添字の和が
であるという条件である.
この分解は自然数の分割とほぼ同じだから, 分割に関する記号を借りるので確認しておく. 自然数
が
個の自然数
を用いて
 |
(2) |
と表されているとき, 列
を
の分割と呼び, 記号
で表す. また
を
の要素,
を要素数と呼び,
,
のように表す. 特別な場合として, 要素数
の列
は
の分割であるとする.
上の記号を用いて
を大雑把に表すと,
を
の要素と
個の
の順列の数として,
となるが,
の場合に
の扱いが問題となってしまう. またこのままでは雑然としているので, うまく記号を定義して整理する事を考える.
まず
と正規化しておく. 次に
の要素の順列の数を
で表し, 特に
とすると,
は,
の要素を並べた後に
個の
を追加すると考えることで
となる. 最後に,
に対して
 |
(3) |
と定義し2, また
とする. 例えば
なら
というように, 添字を順列に見立てて書き出したものの和になる. 結局
は
 |
(4) |
という形で表されることになるが, これは
における
の係数
と本質的に同じ形であることが分かる. つまり二項定理の一般化として
の係数を求めることができたのである.
Kenichi Kondo
平成16年3月18日