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差分方程式という言葉は通常漸化式と同じ意味で使われるが、ここでは
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(3.100) |
のように差分演算子を用いた関数の方程式という意味で使い、
のような漸化式とは区別する。しかし、
や
を求めたように、(3.1)を
と変形すればほぼ漸化式であるから、差分方程式は漸化式と確かに同じものである。それなのに何故区別をするのかというと、次節以降で見るように差分方程式の方が漸化式よりも解が簡単に表されるからである。一方、(3.1)において
の極限を考えれば
となるから、差分方程式は微分方程式と同じとも言える。つまり、漸化式も微分方程式も差分方程式も実は同じものであり、の値が少し違うだけなのである。
さて、最も簡単な差分方程式は
である。解は差分をとってになる関数であるから、
である。一般的に、差分方程式
の解は、分母を払って両辺の和分をとれば
となるが、定義を述べているようなものなので余り面白くない。面白いのは
のように
で差分方程式が構成されている場合である。差分方程式が面白いかどうかを代数方程式に喩えるなら、
は確かに方程式とは言えるが解は自明であるのに対し、
のような方程式の解はちょっとした計算をしなければ求まらない、ということになる。
まずとを含んだ差分方程式、つまり一階差分方程式
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(3.101) |
を解くことを考える。この式を整理すれば
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(3.102) |
となるから、(3.2)と(3.3)から2つの特性方程式
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(3.103) |
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(3.104) |
が得られる。方程式の解をそれぞれ
とすると、
であるから
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(3.107) |
という関係が成り立つ。このを用いると、(3.3)は
となるから、
における解は
となり、を消去して
を代入すれば
が得られる。ここで、もしが増えたとしてもの値は変わらず8、よって
の値も変わらない。つまり
であり、また
であるから、結局(3.2)の一般解は
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(3.108) |
のように簡単な形となる。
次に
を含む二階差分方程式
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(3.109) |
を解くことを考える。の2階差分は
であるから、(3.10)を整理すれば
となり、2つの特性方程式
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(3.110) |
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(3.111) |
が得られる。これらの方程式を解くと
が得られ、複号同順とすれば
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(3.114) |
という関係が成り立つ。
の値を複号に応じてとおき、それに対応しての値を
とおく。
の場合、
における値は
であるから、一般解は
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(3.115) |
となる。の場合は
であるから、一般解は
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(3.116) |
となる。
Kenichi Kondo
平成16年3月18日