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反復関数が次収束であるための必要条件は
であるから、単純に
とすれば上の条件は満たされる。しかしこれでは求めるべきが反復関数の中に入っており、役に立たないように見える。ところが、ここで
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(3.39) |
のように書くと、の値をうまく選ぶことでを消せることがある。例えば
とすると、
であるから、とすることで
という反復関数が得られる。
この方法は簡単であるが、の不定積分が求まり、かつが消える必要があるので、一般的な用途には向かない。また、他の方法とは違って、の重解度が高いほど収束次数が高くなるのが特徴である。
Householderは次の収束を示す反復関数
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(3.40) |
を与えている2。ここで
であるから、とすれば
となってNewton法が得られ、とすれば
となってHalley法が得られる。の場合には
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(3.41) |
という反復関数が得られる。
具体的にとおいて有理関数型の4次までの反復関数を求めると、
となる。このことから一般に次収束の反復関数は
となることが予想され、具体的に
を代入すれば証明できる。より一般的にとした場合、
となり、余り規則性は見られない。はBailey法(Bailey's Method)、Hutton法(Hutton's Method)、あるいはLambert法(Lambert's Method)として知られている反復関数である。
方程式の解を求めるのに、Newton法では与えられたに対して
を用いて
と近似したが、これを級数
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(3.43) |
を用いて正確に表すことを考える。を中心にTaylor展開すると、
となり、ここで
であるから、をで表すとして、
となる。であるから、任意のに対して上の式が成り立つようにを選ぶと、
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(3.45) |
となる。このとき関数
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(3.46) |
は、ほとんどのに対してそのに対応するを返し、有限の項で打ち切れば任意の次数の反復関数が得られる。例えばまでの項で打ち切ると、4次収束を示す
が得られ、この方法がNewton法やHouseholder法の自然な拡張となっていることが分かる。
ここで
であることに気づけば、次の反復関数は
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(3.47) |
となることが予想される。
は明らかであるので、導関数を調べる。を書き直して
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(3.48) |
とすると、被和項の1階導関数は
となるので、
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(3.49) |
を得る。は因数を持つので、の階までの全ての導関数はにおいてとなり、は次収束を示すことが分かる。また、は
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(3.50) |
と表され、従って単純積分型の拡張となっていることも分かる。
をもう少し分かりやすく
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(3.51) |
という形で表すことを考えると、の場合を考えてであり、また
となるから、
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(3.52) |
という漸化式が得られる。具体的にを計算すると、
となる。
は次のようにしても得られる。の反復関数が
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(3.54) |
という形をしていると仮定する。
は当然満たしているので、における導関数の値がという条件を要求すると、まず
であるから、とおけば
となる。この式から一般には
の形で表せることが分かり、は
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(3.55) |
となる。同様にして
であるから、を満たす一般のは
で表され、は
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(3.56) |
となる。この計算を続けると
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(3.57) |
が得られ、先程と同じ反復関数となる。
さて、具体的にとすると、
として、
となるので、
を得る。これを解けば
となるので、積分型のは
となることが分かる。
Kenichi Kondo
平成16年3月18日