の代わりに
と書くことにする. 証明は,
が代数方程式を満たすと仮定し,
の二通りの評価が矛盾することで行う. その際,
などの2進表示が任意の長さの0の列を持つ点が重要である.
まず,
はそのままの形では扱いにくいので冪級数に書き直す. 即ち
という係数
を考えると,
となるような整数の列
の数が
となる2.
を2進数で考えたとき,
の数が
個よりも多い場合は
となるので, たとえば
が
の範囲にある場合は常に
となり,
の数がちょうど
個の場合は
となる. これが
個よりも少ない場合は,
が
小さい場合の列
からある
を選んで,
が正なら
という
を用いて,
のどこかに
を入れると一つの列が得られる. よって,
が
であるような場合も含めて, 上からの評価は
となる. 重要なのはこれらの評価が
に依存しない点なので, 簡単に
としておく.
さて,
は
を用いて
と表される代数方程式を満たすと仮定する. ここで
は非負整数で,
となるように選んである.
で
の小数部分を表すとし, また
とおくと,
となり,
は任意だから
の2進表示は任意の長さの
の列を持つ. ここで
は十分大きいとして,
の小数点以下
桁目から並ぶ
の個数を考えると,
が
少ない場合よりも
個増えるので, 少なくとも
個の
が並んでいる. これは
についても同様だから,
を十分大きくとることで同時に
の小数点以下
桁目から
個の
が並ぶようにできる. このとき
となり,
についても同様だから,
の整数との差は
以下である. 一方, 小数部分を普通に評価してみると,
だから, 上の途中の式がそのまま小数部になって, 今度は下からの評価をすると
となるので, 先ほどの評価と矛盾する. よって
は超越数である.
Kenichi Kondo
平成16年3月18日