Sophere / にきもの / 2008年6月

にきもの

鰹のタタキ

2008年6月15日

うちの近くにあるスーパーの鮮魚コーナーはなかなかいけている。メジャーなものから少しマイナーなものまで、売り場面積がそう広くない割にはいろいろな種類を扱っている。それなりの味のときもあるが、おいしいものも確実に入ってくるので、よくチェックしている。

この時期おいしいは鰹のタタキ。それも冷凍ではなく生の鰹を使ったもの。冷凍と生では別物と言っていいぐらいに違う。何が違うかと言えば、香り。冷凍ものの鰹を使ったタタキは香りが死んでいる。味「だけ」を見ればそう悪くもないが、どこか物足りない。しかし生の鰹を使ったタタキは香りが豊かで、まさにタタキを食っている、という大きな満足感が得られる。たかが香りと思うかもしれないが、香りは味覚に大きな影響を与えるのだ。

タタキは大体ポン酢で食べるのだが、これもまた重要な要素だ。たまに違うスーパーに行って見かけないポン酢があるとそれをチェックしておいて、次回はそれを買いに行ったりする。今使っているのもそうやって買ったもので、久しぶりに当たりだった。原料であるすだちや鯖節の持つ強さがうまく生かされていて、ポン酢としての主張がはっきりと感じられる。こういうフレッシュなポン酢は料理を選ぶところがあるのだが、うまくマッチしたときにはとてつもない力を発揮する。

今日僕は生の鰹を使ったタタキをつまの大根とともにこのポン酢で食べたのだが、ポン酢がつまを媒介としてタタキのうまみを引き出すという原理的にはそういう作用で、しかし実際には舌まで渾然一体となったとしか表現できないような方法によって異次元のうまさが具現されていた。