Sophere / にきもの / 2008年5月

にきもの

香りとデザイン

2008年5月7日

最近俄にお香に興味が出てきて、いろいろ試してみることにした。

昨日はとりあえず頼んでみた伽羅大観が届いて早速焚いてみたのだが、お寺っぽいという以外何も分からない。何かを食べたときの書きっぷりと比べると、まさにタブラ・ラサである。食べ物の香りについては少しは分かるが、それもここでは役に立たないらしい。ということでまずは沈香と白檀の違いを知ってみようと、どういうお香が売られているのか調べてみたら、香雅堂が出している麻布シリーズがよさそうだ。さらに香立ても伽羅大観とセットになっていたやつでは味がないので、これも調べてみたら鋳心ノ工房の折型双六というタイプがなかなかいい。明日はこの二つを買いに行こうと決めて三十二時に寝る。

香立て

二限と四限に出た後早速表参道に向かい、目的の香立てを扱っているカギロイというお店を探す。定休日を調べておくのを忘れた、と思いながらお店があるはずの区画をぐるっと回ってみても見つからないので、もう一度ゆっくり探してみたら発見できた。入り口にこっそり出ている看板によると営業時間は十一時から十九時、定休日は水曜だったのでお店に入ったら、店員さんに水曜は定休日なんですけど、と言われた。えーっと。こんな状態でもよろしければご覧になってくださいとのことなので、ありがたく見せていただく。それほど変な状態でもないと思ったが、長居するのも悪いので、香立ての場所を教えてもらい、いくつか種類がある中でやはり折型双六がよさそうなのでささっと購入して、どうもすみませんでした、と言ってお店を出る。

次は麻布十番にある香雅堂へ。ここは本当に営業中だったが、僕以外にお客さんがいないのはさっきと同じで、しかもお香の原料が大きいガラス瓶にずらりと入っていたりして、お呼びでなかったかなと思いつつ、少しうろうろしてみるとそれほど敷居が高い雰囲気でもなく、目的の麻布シリーズの説明書きを読んだりしていると、ご主人がフレンドリーにも試しに焚いてくださって、タブラ・ラサな僕としては適当に相づちを打つしかないのがなんというか申し訳なかった。それでも無事に沈香と白檀のお香を入手してお店を出る。

最後に東京ミッドタウンへ。ここにあるTHE COVER NIPPONという日本製雑貨専門の雑貨屋さんの汁椀を母親が気に入って、追加で買ってくるよう頼まれていたのだ。雑貨を見るのはもともと好きな方だが、このお店はかなり楽しい。食器、家具、食品(調味料やお酒など保存がきくもの中心)などの品揃えを見ていると、世の中にはこんな製品が存在するのかと、あるいは今時こんなものが売られているのかと何度も感心してしまう。お香関係では鋳心ノ工房の香立てもさっき購入したタイプはなかったが売っていたし、九谷焼の青粒の香炉もあった。最近は梅酒も気になっているのだが、ラベルにGOGHOUBI UMESHUと書かれたやつがあって、何語かなと思いつつ瓶を手にとって見ていたらホワイトリカーベースでブランデーも入っているらしく、ちょっとおもしろそうだ。すると店員さんにプレゼントですかときかれて、いえ自分用ですと答えると、じゃあ自分へのご褒美ですねーと言われて、よく見るとGOHOUBIだった。ご褒美ではないがこれは買うことにして、目的の汁椀も買おうとしたら、なんとそれは後からやってきたおそらくドイツ語を喋る人々によってちょうど確保されてしまったところらしい。が、また一週間後ぐらいに入荷するとのことなので、それを実家に送ってもらうことにして、無事目的を達成。

煎茶椀

同じフロアには他にも雑貨系のお店がいろいろ入っていて、場所柄当たり前のことかもしれないが、デザインというものをどのお店も分かっているので、見ていて飽きることがない。その中に柳宗理のデザインした食器類を置いているお店があって、結構探していた理想に近い煎茶椀を発見した。煎茶を飲むためにはやはりそれに適した器というものがあり、それは香りの広がりのために口は広がっているものがよく、色が見やすいように内側は白いものがよい。また普段使いを考えているのであまり小さいものはよくない。というのが大体の条件で、それを素朴に満たす煎茶椀がちょうど売っていたのだ。そこそこいい線ぐらいだと他にも候補はあったのだが、これはベストに近いので手堅く入手しておく。

もっと見て回りたかったのだが、そろそろ疲れてきたし、時間も遅いので切り上げることにした。渋谷に出て井の頭線で帰っていたら、斜め前に一心不乱にメモ帳に何かを書き込んでいる人がいて、ちょっと覗いてみると服のデザインをスケッチしているようだ。あふれ出るアイデアを描き留めているのかと思ったら、目深にかぶった帽子の下から時々ちらっと僕の右隣の人に視線を向けていて、本当にスケッチしているらしい。右隣の人も気づいているのか、携帯を触ったりする様子が少しそわそわしている。スケッチが終わったのかなと思ったら、今度は標的が僕に移ったようなので、視線が合ったりしないように広告を眺めたりしてみる。幸か不幸かそれからすぐに駅に着いてしまい、全部スケッチできたのかなぁと少し心配になりながら電車を降りた。