オレンジの店
2007年12月11日
うちのすぐ近くにARANCIA(アランチャ)というケーキ屋さんがあるのだが、この小さなお店は僕のお気に入りである。
もちろんのことだが、ケーキは美味しい。必ずしも最良の味とは言えないが、丁寧に作られている印象があるし、季節のものを使ったケーキや、焼き菓子もいろいろ扱っていて楽しい。特にマシュマロはマシュマロ観の変更を迫られるのでお勧めである。
しかし僕が本当に素晴らしいと思っているのはここのある店員さんである。とても感じが良い。これほど感じの良い店員さんにはいまだかつて出会ったことがないし、これからも出会うことはまずないと思う。そのぐらい感じが良い。
デパートや高級レストランに行けばいくらでも感じ良い人は見つかると思うかもしれない。でもそれは違うのである。確かにそういう場所にも感じ良い人はいる。しかしその感じ良さはハイソで都会的な感じ良さであり、例えばお店の外で出会ったとしても同じように感じ良いだろうかと考えると、どこかしら否定しきれない危うさがある。
それに対してARANCIAの店員さんは限りなく感じ良い。地元のお店だからこそ発揮できるあたたかな感じ良さである。オレンジ(ARANCIAはイタリア語でオレンジという意味である)を基調としたお店の中にその人がいると相乗効果で雰囲気が出るし、一度外で見かけたときにもそのままの感じ良さを纏っていたのですぐに分かった。
お客さんが僕しかいないときなんかは、ケーキを買ってお店を出ようとすると、先回りしてドアを開けてくれる。しかもドアについているきらきらと音のするやつ(僕はその名前を知らない)を手で押さえながら。これには毎回感激してしまう。なんでもない、ちょっとしたことなのかもしれないが、あの感じ良さとこの気遣いで、僕はやられてしまうのである。
- オレンジの店でケーキを買ったなら僕の心はドアのきらきら
ゼミ納め
2007年12月19日
数学科は卒業論文がない代わりに数学講究XA(夏)及び数学特別講究(冬)という先生にみてもらうゼミをしなければならない。三年の冬に数理の先生方がこれこれのテキストのゼミをみますという一覧を出し、学生は希望を書いて、通ったところで四年の間ゼミをするというシステムになっている。普通は一年を通して一つのテキストを読む(というよりは一人の先生にみてもらう)のだが、場合によっては夏と冬で別のゼミをとることもできる。
テキストは沢山あるので誰も希望を出さないゼミもあるが、今やっているゼミに希望を出したのはちょうど僕一人であった。先生が発表するわけにもいかないので、毎週僕が発表することになるのだが、それだけならまだしも、テキストが結構難しく、それもまあいいとして、テキストの日本語が悪く、さらに誤植も多いので苦労している。物理的な時間はともかくとして、精神的な時間はかなりゼミに使っているような気がする。
ゼミをみてもらっているのはS石先生という先生なのだが、さすがにS石先生とのサシゼミではなく、去年(かな)博士を出たばかりのT谷さんにもオブザーバとして来てもらっている。人数が多すぎるのもよくないが、やはり三人ぐらいはいないと詰まったときに前に進むのが極端に難しくなるように思う。今日もある定理の具体例をみんな(含S石先生)でわいわい言いながら計算して、理解を深めることができた。
ということで、次回のゼミは来年である。しばらくは保留になっていた諸々の計画を進めようと思う。
僕はお茶を淹れるときに温度計を使う。お湯が最適な温度になるまで待つのである。そこまでしなくても、と思うかもしれないが、温度計なしにお茶を淹れるのは難しい。温度計で淹れてきた経験として、最適な温度には5℃ぐらいの幅はあると思っていいが、10℃となると厳しい。そして例えば煎茶を淹れる70℃前後の5℃や10℃というのはすぐ冷めるようで冷めないが、すぐ冷めないようで冷めるという微妙な温度であり、その具合は夏と冬でも異なってくる。もちろん伝統的には湯冷ましなどを利用して淹れてきたわけだが、毎回一定のおいしさを保証するにはやはり温度計が必要だと思う。
もう一つお茶を淹れるのに重要なのが急須である。急須の材質によって味が変わるのである。正確に言えば、変わるらしい。というのも、三年前においしいお茶を淹れると心に決めたときに買った急須を今も使っているので、他の急須を知らないのである。しかし、同じ急須でも使っているうちに味が変わるようである。普段は洗剤の匂いがつくのが嫌で水洗いしかしないのだが、この前鍋にお湯を沸かして急須を煮てみたところ、お茶の味がクリアになったのである。が、どこかしまりのない味になってしまった。どうしたものかと思いつつも淹れ続けていたら、最近再びおいしくなってきたので、安心しているところである。
- 千早振る宇治の玉露がはいらぬと聴診器もて急須診る我
マノン視聴会
2007年12月24日
昨日は歌劇団の人々とマノンの視聴会に行った。新国立劇場の情報センターで2001年の公演を。マノンはヴァドゥヴァ、デ・グリューはサバティーニ。この二人はうまい。レスコーのカロリスもなかなか。他は全部日本人だけど、どうかな。演出・装置・衣装はポネル。非常に豪華なセットだ。よくできている。群集処理もうまい。これは演出補レプシュレーガーによるものかもしれない。照明はシャヒンガー。これもなかなか。
というように公演としては良いものだと感じだが、オペラとしてはどうなのかよく分からない。今日見た限りでは駄作だ。台本はメイヤックとジルによるものだが、冗長な上にご都合主義的。ギヨーの人物造形が一番ましなのではないかと思ってしまう。マスネによる音楽もつかみ所がない。オケのまずさを歌でカバーしようとして失敗しているのではないかとさえ思える。が、ちゃんと台本なりスコアなりを読むまでは最終的な判断は下せない。
視聴会の後はオペラシティにある藩という店でクリスマスパーティ。突然We Wish a Merry Christmasを歌い出す以外は普通の飲み会。ぶりの刺身を頼んだら思ったより美味しかった。で、知ってる人、新しく知った人といろいろ喋った。ご存じないかもしれないが、僕は大人数の飲み会は苦手である。しかし苦手なままなのも良くないと思って行ってみたわけだが、幸い少しはレベルアップしたように思う。まだ残っている人も結構いたが、僕は21時ぐらいで帰った。
ということで最近は歌劇団に復帰しようかと少し考えている。今のところマノンはのらない方向、その次の公演はのる方向に傾いている。とはいっても、今年度は十分な練習時間がとれないと思うし、来年度は大学院進学予定なのでどういう忙しさになるのか見当がつかず、かなり何ともいえない状態である。
- 穂村弘の新刊を東京堂書店で見つけたイブはTAKANOで
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