はじめに
LaTeXでOpenTypeフォントのAdobe Garamond Proを使うためのパッケージを公開しています。主な機能は以下の通りです。
- T1/TS1エンコーディングでRegular, Italic, Semibold, Semibold Italic, Bold, Bold Italicを扱えます。
- オールドスタイルの数字やスモールキャプス体を扱えます。
- 文字サイズの調整や、SemiboldのBoldへの割り当てができます。
ダウンロード
- agaramond-0.0.2.tar.gz
- パッケージ一式。2007年12月18日更新。
- agaramond.pdf
- PDF版説明書。パッケージにはTeXソースのみが入っています。
対応環境
以下のソフトウェアがインストールされた環境に対応しています。
動作確認は以下の環境で行っています。
- Vine Linux 4.1上のptetex
- Windows XP上のCygwinから使用するW32TeX
インストール
- agaramond-0.0.2.tar.gzを展開し、インストール用のスクリプトmakepadがあるディレクトリに移動します。
- makepadの最初にある以下の変数を設定します。
- PREFIX=<path>
- インストール先のルートTDSディレクトリを指定します。
- UPDMAPTYPE=<type>
- マップファイルの更新方法を0, 1, 2で指定します。それぞれの意味は以下の通りです。
- 0 : teTeX系のディストリビューションで、個人用にインストールする場合
- 1 : teTeX系のディストリビューションで、システム全体にインストールする場合
- 2 : W32TeXの場合
- 以下のAdobe Garamond Proの各ファイルをカレントディレクトリにコピーします。一部だけをインストールしたい場合はそのファイルのみをコピーします。
- AGaramondPro-Regular.otf
- AGaramondPro-Italic.otf
- AGaramondPro-Semibold.otf
- AGaramondPro-SemiboldItalic.otf
- AGaramondPro-Bold.otf
- AGaramondPro-BoldItalic.otf
- コマンド ./makepad を実行して、インストールに必要なファイルを生成します。
- コマンド ./makepad install を実行して、生成されたファイルをインストールします。必要であれば、あらかじめルートユーザになっておきます。
- ls-Rファイルを使用している場合はmktexlsrを実行します。
以上でインストールは完了です。
アンインストール
- インストールしたときの設定のまま、./makepad uninstall を実行します。必要であれば、あらかじめルートユーザになっておきます。
- ls-Rファイルを使用している場合はmktexlsrを実行します。
以上でアンインストールは完了です。
使用方法
プリアンブルにおいて\usepackage{agaramond}とすれば、デフォルトのローマン体としてAdobe Garamond Proが使われるようになります。オプションとして次のものが指定できます。
- oldstyle
デフォルトでオールドスタイルの数字が使われます。
- scaled=<scale>
文字のサイズが<scale>倍されます。scaled のみの指定も可能で、その場合はドキュメントクラスがjarticle系なら1.082倍、jsarticle系なら1.04倍されます。これはヒラギノ明朝体を想定した値です。
- semibold
Adobe Garamond ProのSemiboldがLaTeX(NFSS2)のBoldに割り当てられます。Adobe Garamond ProのBoldはLaTeXのExtra Boldに割り当てられます。イタリック体についても同様です。
\textln{}, \textos{}コマンドによって、一時的に数字をライニング、オールドスタイルに切り替えることができます。
制限・不具合など
- Adobe Garamond Proの各フォントに含まれていない文字は少数の例外を除いて使えません。
- T1/TS1エンコーディングにない文字は使えません。
- スモールキャプス体ではオールドスタイルの数字しか使えません。
- (イタリック体ではなく)斜体はありません。
- dvioutでうまく出力できないことがあります。その場合はdvips(k)やdvipdfm(x)を使用してください。
また、未確認ながら、インストールするAdobe Garamond Proのバージョンによっては、TS1エンコーディングに存在する大文字用のアクセント記号が小文字用のものになったり、表示されなかったりする可能性があります。
ライセンス
このパッケージはBSDライセンスの下に配布されています。全て自己責任でご使用ください。詳しくはパッケージに同梱されているCOPYINGファイルをご覧ください。
更新履歴
- Version 0.0.2
- scaledオプションの追加
- teTeX系のディストリビューションに対応
- 一部のフォントのみでのインストールに対応
- 2007年12月18日公開
- Version 0.0.1
- 最初の公開バージョン
- semiboldオプションの追加
- 大文字アクセント類の調整
- 2007年10月7日公開
参考サイト